住宅を建てるつもりで買った宅地が都市計画道路の予定地にかかっているようです。 どうすれば契約を解除し、払ったお金を取り戻すことができますか?
宅建業者の媒介により土地を購入されたのであれば、事前に重要事項説明を受けられたと思います。重要事項説明書には都市計画道路について何も記載されていませんか。もし、記載・説明がされていない場合は、媒介(仲介)した宅建業者は重要事項説明義務に違反することになりますので、媒介業者の責任を追及することができます。売主との関係では、瑕疵担保責任の問題になりますが、媒介業者から説明を受けていたのであれば、責任を問うことはできません。物件に「隠れた瑕疵」があるとき、買主は「契約の目的を達することができない場合」に限り契約を解除することができます。
買ったばかりの新築マンションの敷地は以前鉄工所だったそうです。小さな公園もありますが、 そういう土壌のところで子供を遊ばせても大丈夫でしょうか? 敏感な子供なので、解約も考えています。
以前鉄工所として利用されていた土地ということですので、土壌が汚染されていた可能性は否定できませんが、このような土地にマンションを建築する際、分譲会社は事前に土壌調査を実施しているものと思われます。分譲会社または販売会社に尋ねて状況を確認してください。 マンションの敷地が汚染物質等により汚染されている場合は「瑕疵担保責任」の問題となります。
5歳の子供がシックハウスにとても敏感だと医者から言われました。私は平気ですが、 子供が時々息苦しい様子をしていることがあります。買ったばかりのマンションですが、出て行かなくては、と思います。 購入代金は戻ってきますか?
建築基準法では、化学物質の発散による衛生上の支障がないように建築建材や換気設備について規制していますが、 その原因が十分に解明されていないこと等もあり、建築基準法の規制を遵守して建築された建物においてでも、発症する人がいるようです。シックハウスについては裁判で争われることもありますが、大変難しい裁判になることが多いようです。まず売主等と話し合ってみてください。 話合いによる解決ができなければ、最終的には裁判所の判断を求めることになりますので、弁護士さんにご相談下さい。
築32年の店舗併用住宅を購入する予定です。アスベストが使われているらしいので、 売主や媒介(仲介)業者にそのことを確かめたいのですが、どうすればよいでしょうか?
平成18年国土交通省令第9号(平成18年3月13日公布、同年4月24日施行)により宅建業法の施行規則が改正され、建物について、石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているときは、その内容を重要事項説明書に記載するとともに説明することとされました。アスベストの使用の有無については、媒介業者を通して売主に設計図書等があればそれに基づいて説明を受けることができます。
アスベストの基本的な知識については国・行政機関から公表されている「アスベストQ&A」等を参考にしてください。
マンションの購入を考えているのですが、耐震問題が心配です。中古の場合は耐震診断が行われているのかどうか、新築の場合でも確認検査機関はどこでどんな会社だったのかなど、売主や媒介(仲介)業者に説明してもらえるのでしょうか。
宅建業者には、①売主(所有者)や管理組合などが、建物(昭和56年6月1日以降に新築工事に着手したものは除かれます)について、建築物の耐震改修促進法の技術上の指針となるべき事項に基づいて、指定確認検査機関、建築士、登録住宅性能評価機関または地方公共団体が行う耐震診断を受けているかどうかを調査し、②耐震診断が行われているときはその内容を、買主に説明することが義務付けられています。確認検査機関に関する説明については宅建業法上の規定はありませんが、説明がなければ、売主や媒介業者に対して自ら説明を求めることも必要です。そのほかにも不安な点があれば、契約の前に納得のいく説明を受けておくことが大切です。
中古のマンションを買いましたが、耐震強度が基準の7割しかない物件だと新聞にでていました。 私は住みたくないので売主に買戻しを求めたいのですが、可能でしょうか?
耐震強度が基準の7割しかないということであれば、「隠れた瑕疵」があると考えることができます。「隠れた瑕疵」とは、買主が瑕疵を知らずまたは知りえなかった瑕疵をいいます。また、瑕疵担保責任を追及するにあたっては1.売買の目的物に瑕疵があり、 2.その瑕疵が「隠れたるもの」であり、さらに3.その「瑕疵」が契約締結時に存在していたことが必要です。引渡し後に発生原因のある後発的な瑕疵や耐用年数切れ等については、瑕疵担保責任は問えないことになります。
そして、売買の目的物に「隠れた瑕疵」があり、買主が契約の目的を達成できない場合には、 買主は売主に対して契約の解除および損害賠償の請求ができます。
3年前に新築のマンションを買いました。震度4くらいの地震でも非常に大きく揺れる気がするのですが、 どうしたらよいでしょうか?
建築物の揺れは、人それぞれの感じ方や建物の構法(耐震・免震・制震構法等)によっても違いますが、ご心配の向きが建物の安全性に対する不安ということであれば、まず売主に対して耐震性について確認してください。なお、昭和56年6月1日以降の建築物は新耐震基準を満たした建築物で、それ以前の建築物と比べ耐震性が高くなっています。
築5年の戸建て住宅を買う契約をしました。容積率・建ぺい率違反の物件ということは知っていましたが、 周りも同じような戸建住宅ばかりですし、安心していました。ですが、銀行が融資してくれません。どうすればいいでしょうか?
法令に違反して建築された建物は、担保価値等の問題で一般に金融機関では融資をしません。購入するためには自己資金で購入することになるでしょう。また建築基準法その他の法令によって建物の建築または再建築が制限されている物件は、欠点のない物件に比べ価格が安いのが通常です。また、次回売却をするときには、そのことを買主に告げる必要があります。このような物件については十二分な注意を持って購入の意思決定をしてください。なお、契約において金融機関の融資を受けるような場合は、ローン特約を付けましょう。融資が受けられなくなった場合契約を解除することができます。
父が、建築基準法違反の建物と土地の売買契約を15年前に結んで、ずっと住んでいましたが、最近亡くなり、私が相続しました。こんな建物を売った売主業者に対して損害賠償を求めたいのですが、どうすればよいでしょうか。
取得した土地建物に「隠れた瑕疵」があったときは、売主に対して瑕疵担保責任を追及することができます。しかし、平成13年11月27日、最高裁判所は、瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求権は引越しから10年で消滅時効にかかるとの判断を示しました。本件は、取得してから10年以上が経過していますので、法律上の請求は請求はできないと思われます。
5年ほど前に父が買った比較的広い敷地の住宅がありますが、今度遺産分割することになりました。その際、面積が不足していることがわかりましたが、元の売主に聞いたら、公簿売買だと言います。公簿売買ってなんですか。
公簿売買とは、売買契約に当たり、土地・建物の登記簿の表示面積により売買代金を確定し、後に実測した面積との間で差が生じても代金を清算しない契約方式のことをいいます。これに対して、実測面積により売買代金を確定させる契約方式を実測売買といいますが、個人の住宅地のような取引においては、売主、買主双方の公平を期するためにも実測売買の方が望ましいといえます。本件の取引が実際に公簿売買であったかどうかは売買契約書の条項により確認することになるでしょう。
なお、売主が数量を指示して売買した(一定の面積があることを売主が契約において表示し、その数量を基準にして売買代金が算出された)場合に、その数量が不足し、買主がその不足を知らなかったときには、買主は代金の減額要求、損害賠償請求、契約の解除(残存部分だけなら買わなかったであろうとき)ができます(民法565条)。
また、売買契約書に「すべて面積は公簿による」との条項があった事案で、買主が実測面積に感心を持っていたことが認定されて、公簿面積より5%強小さかった土地について、売買契約の6年後に代金の減額請求が認められた事例(最判平成13年11月222日)があります。
築25年の中古戸建て住宅を買いました。根太(ねだ=床板の下に渡した横材のこと)が腐っている状態でした。 現状有姿(げんじょうゆうし)とか現況有姿(げんきょうゆうし)とか言われて、後で文句は言えないと言われましたが、売主や媒介(仲介)業者に賠償金を払ってもらうことはできるでしょうか。
現状(況)有姿は、引渡しまでに目的物の状況に変化があったとしても、売主は引渡し時の状況のままで引き渡す債務を負担しているにすぎないという趣旨で用いられることが多いのですが、単に現状(況)有姿との記載があるからといって、これをもって直ちに売主の瑕疵担保責任の免責に合意があるとはいえません。
媒介業者は、不動産取引の専門家として建物等のチェックポイントを知っているはずであり、容易に発見可能な瑕疵について、 調査不備により発見できなかったとか、瑕疵があることを知っていて告げなかった場合には説明義務違反があり、 買主に対して損害賠償責任を負うことになるでしょう。
築25年の中古戸建て住宅を買いました。根太(ねだ=床板の下に渡した横材のこと)が腐っている状態でした。 現状有姿(げんじょうゆうし)とか現況有姿(げんきょうゆうし)とか言われて、後で文句は言えないと言われましたが、売主や媒介(仲介)業者に賠償金を払ってもらうことはできるでしょうか。
新築住宅の場合、「住宅の品質確保と促進等に関する法律」(略称:品確法)により、売主は、引渡しの日から10年間、住宅の基本構造部分(住宅の構造耐力に主要な部分または雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるもの)について、瑕疵担保責任を負うことが義務付けられています。したがって、購入したばかりの住宅の雨漏りは、当然に宅建業者である売主に請求できます。
中古の戸建て住宅の跡地を買い、建売をします。現在は下水道がありますが、以前は浄化槽だったので、その槽を半分壊して埋めた状態にしています。これについて将来瑕疵担保責任を問われる可能性があるでしょうか。
「瑕疵」があるとは、取引の概念からみて売買の目的物に何らかの欠陥があることを意味します。また、買主が取引上一般に要求される程度の注意をしても発見できないような瑕疵、あるいは、目的物に瑕疵のあることを知らず、かつ、知らないことに過失のないような場合の瑕疵を「隠れた瑕疵」といいます。ご質問の地下に埋まっている状態は瑕疵がある状態といえ、将来瑕疵担保責任を問われる可能性があります。埋設物を完全に除去した状態で契約することが望ましいといえます。浄化槽を埋めたままで売却するのであれば、埋設物について位置図面等を添付し重要事項として説明する必要があります。
半年前に中古マンションを購入しましたが、最近部屋の結露がひどく壁に大きなシミが出てきました。修理してもらおうと思い、媒介業者に連絡をしたところ、「現状有姿にて引き渡す」との契約でしたので売主には応じてもらえないとのことでした、どうしたらよいでしょうか。
購入した建物に不具合や欠陥があり、それが「隠れた瑕疵」の場合は、売主に対して損害賠償等の請求をすることができますが、この結露が「隠れた瑕疵」であるとして売主に瑕疵担保責任を求めることができるかということになります。
断定的な判断をすることはできませんが、瑕疵担保責任の問題として売主に修理費用を負担してもらうことは難しいと思われます。結露はさまざまな要因により生じます。単に表面の壁紙を張り替えるだけでなく、結露が発生しにくくするにはどうすればよいのか、建築の専門家等にもアドバイスを求めて対処されたらどうでしょうか。換気を十分に行うのは基本です。
業者の媒介(仲介)で中古住宅のあった土地の売買契約を結び、更地として引渡しを受けました。取得後すぐ建替えを計画し、基礎工事にかかったところで、前の住宅の基礎や廃材などが出てきて、これらを撤去するのに相当の費用がかかることがわかりました。契約書には瑕疵担保責任についての記載はなく、売主にはその費用を請求しますが、業者は売主からも媒介の依頼を受けていて私の相談相手になりません。この媒介業者にも責任を取らせることはできるでしょうか。
媒介した業者がこの中古住宅の解体等についてその経過を聞いたり、知っていた場合には買主に重要な事項として、その事実を説明する義務があります。これらを知りながら隠したり、事実と違うことを説明して買主に損害が発生したというのでれば、取引の判断に重要な影響を及ぼす事実を告げなかったとして、業者に対してその責任を追及することができるでしょう。